ゴーログの中の人がピンと来た
ゴーログの中の人が素敵なアイデアを提唱しておられます。
- 週刊!木村剛 powered by ココログ: [ゴーログ]仕事を変えずに所得を増やす方法
「サラリーマンが自分で会社を設立し、勤務先との契約を、雇用契約から業務委託契約へ切り替える」という脱サラについて述べています。
中略
サラリーマンの方には、ピンと来ないかもしれませんが、「忠如庵」さんの指摘は、事実であり、実現可能な話です。そして、今後、日本政府が増税政策に傾くことになると、ひとつの有力な方策として、企業が実施していく可能性すらあると思います。
その背景には、社会保険関連費用が嵩んでくることがあげられます。不況が長引く中で、厚生年金保険料に雇用保険、さらに健康保険の負担が経営を圧迫してきますから、従業員の手取り収入を増やしつつ、コストを削減してサバイバルする手段として、雇用契約から業務委託契約に切り替えるということを真剣に考える経営者は増えるかもしれません。
具体的には、保険会社と保険代理店の関係だと考えていただけると分かりやすいかもしれません。一円起業が可能になった今、会社組織を作って、社員は全員社長です、とうビジネスのやり方が流行るのかもしれませんね。国に税金を取られるくらいなら、そのほうがいい、と割り切るのは悲しいことですが、税金を払っても、お国がちっとも感謝しないで、無駄遣いし続けるのであれば、致し方ないのかもしれません。
こんなお話を、事実だとか、実現可能だとか書いちゃっていいんでしょうか。ゴーログの中の人は雇用主としてのポジションでしか考えることが出来なくなってしまっていると思われかねません。まあ、こんな話をピンと来る雇用者はどうかしてると思われるのは間違いないでしょう。
語る上で混乱するので、ここでいわれている元の雇用主である会社を「親会社」、従業員だった者が設立する会社を「子会社」と表現します。
ゴーログの中の人が経営を圧迫していると書いた「社会保険関連費用」。たくさん作られた子会社でも社会保険関連費用が発生します。では誰が負担するのか。まあ、簡単に考えれば子会社の会計からなわけで、どう計算しても労働者の手元に残るお金は減ります。
業務委託契約の継続は義務がありませんので、首を切るのも簡単です。雇用保険は子会社が払いますが、契約を解除されても雇用保険の支払いはありません。子会社が一人しかいない経営者を解雇できませんので、どうやっても失業給付は受けられないことになります。再就職――というか、再契約――をするまでの間は収入がありません。再就職するまで生きていけるでしょうか。
この仕組みでは本来は給料として払われているもの以外の収入はありませんから、子会社が資産を形成することはないですし、積み立てても元々自分のお金です。結果として仕事をやめたときの一時金としての退職金は存在しません。
業務委託契約なので親会社は労務環境を保護する義務がありません。親会社はさらにコストを削減できます。一方、労働環境が苛酷になり労務災害が頻発することになりますが、災害があったときは子会社が責任を負うわけです。
これでは「仕事を変えずに所得を増やす方法」ではなく、「所得を増やすつもりが所得も保障も減る方法」になってますね。
さらにいうと、業務委託契約になっていると、親会社は子会社の社員である労働者に直接の指示が出来なくなります。直接業務命令をすれば偽装請負になります。これは違法行為です。現地で指示をすることが出来ない労働者なんか使いづらくて仕事になりません。
業務委託なので有給休暇もむずかしいですね。休暇を認める契約を結べればいいのですが、親会社にはそのような契約を結ぶ義務はありません。一方、子会社は労働者に有給休暇を与える義務があります。まあ、現実的には休暇は成立しないでしょう。
親会社の経営者にとってはすばらしいことこの上ない考えなのでしょうが、子会社である労働者にとっていいことは何もありません。まあ、こんなの成り立ったら親会社の経営者も子会社設立を求められて業務委託契約を結ばされるでしょうが。
こんな話、実際にやったら違法雇用形態として叩かれることは間違いないでしょうね。「偽装雇用」とか名づけられて。
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